楽天市場は国内最大のECサイトであり利用者も多いため、オンライン販売を開始したい企業からすると、1度は出店を検討したことがあるのではないでしょうか?
ただ楽天は国内最大の売上を誇るECサイトでありながら、出店数はYahoo!JapanやAmazonより少なく、登録が難しいと言われています。
そこで本記事では、楽天市場の出店登録の方法から、審査で不合格になった際の対象法まで解説しています。
これから出店を考えている企業には参考になりますので、ご覧ください。
楽天市場に出店する方法
楽天市場に出店するには、大きく5つ対応することがあります。
企業で対応すること | 楽天が対応すること |
---|---|
出店準備 | |
出店プランの選択 | |
出店の申し込み | 出店審査 |
店舗、商品ページの作成 | 開店前審査 |
ショップ開店 |
商品の仕入れなどの出店準備からショップの開店までに、楽天では計2回の審査が行われます。
それぞれのステップごとに対応する内容について紹介していきます。
出店準備
ECサイトで販売するには、まずは出店準備が必要です。
- 在庫を購入
- 保管場所の確保
- 物流業務社員を雇用
- 追加の資金調達 など
ECサイトと実店舗で異なる点は、商品をディスプレイする必要がなく、その場で商品を受け渡さないことです。
その代わり新たに梱包・配送といった物流業務に、追加で対応しなければなりません。
ディスプレイする場所が不要のため、実店舗よりコストがかからないと手軽にできそうと思われがちです。
しかし物流業務に対応する場所が必要になるため、状況によっては大きく変わらないことも多いです。
保管場所を借りるのであれば、物流業務を全体を委託できる物流倉庫を利用することも視野に入れましょう。
出店プランの選択
楽天市場で出店するなら、3つのプランのうち1つを選択する必要があります。
プランごとの大きな違いは、コスト、登録可能商品数、画像容量が異なりますので、比較して選んでください。
各プランの詳細は以下の通りです。
がんばれ!プラン | スタンダードプラン | メガショッププラン | |
初期登録料 | 60,000円(税別) | ||
月額出店料 | 19,500円(税別)年間一括払い | 50,000円(税別)半年分一括払い | 100,000円半年分一括払い |
システム利用料 | 月間売上高の3.5〜7.0% | 月間売上高の2.0〜4.5% | 月間売上高の2.0〜4.5% |
登録可能商品数 | 5,000 | 20,000 | 無制限 |
画像容量 | 500MB | 5GB | 無制限 |
基本的には、出品数や画像容量など上限内に収まるかどうかで判断しつつ、最後はコストとのバランスを見て決定するのがよいでしょう。
ただし、どのプランも半年または1年単位で出店料を支払う必要があるため、まとまった出費になることは注意しましょう。
各プランについて詳細の説明や選び方、注意点に関しては関連記事を書いていますので、そちらを参考にしてください。
【併せて読みたい記事】
楽天市場の出店プランの比較・選び方は?注意点も紹介
出店の申し込み
出店準備とプランが決まったら、楽天市場公式サイトから出店申し込みフォームを送ります。
申し込みフォームには、出店者自身の情報と出店する企業の情報を入力します。
会社情報は事業形態を選びます。
会社であれば法人、個人で開設するなら個人事業主を選択し、所在地住所や電話番号などの基本情報を入力していきます。
申し込み時に注意すべきポイントは以下の3点です。
- 電話番号は携帯番号不可
- メールアドレスはフリーメール不可(ヤフーメールなど)
- 個人事業主の場合、副業ではできない
すべての項目に入力できたら、フォームを送信し申し込み完了です。
申し込み後、申請した内容の整合性を確認するため、必要書類をアップロードします。
出店時に必要な書類
事業形態により、提出する書類は異なりますので以下の表を参考にしてください。
提出書類 | 対象者 | 注意事項 |
出店申込書 | 出店希望者 | WEB入力後、最終的に原本提出 |
審査書類 | ||
取扱予定商材の販売に必要な営業許可・資格などの書類 | (薬品など)営業許可が必要な商材を扱う出店希望者 | ー |
商材の写真 | 出店希望者 | ー |
登記簿謄本(履歴事項全部証明書) | 企業 | 審査にあたり提出を求められる可能性あり |
住民票・印鑑証明書 | 個人事業主 | 3ヶ月以内に取得したもの |
実店舗の写真 | 個人事業主 | ー |
資料のアップロード後、必要書類は最後に原本提出が必要となるため、必ず手元に保管しておきましょう。
出店審査中に追加書類の提出が求められる場合がありますので、指示された書類を用意し対応します。
店舗、商品ページの作成
申し込みが完了すると、楽天市場で出店情報の全てを管理できるRMS(Rakuten Merchant Server)と呼ばれるシステムが利用できます。
出店者はRMSを使いECサイトを作ったり、商品の管理を行ったりします。
楽天市場における店舗の構造は、大きく3階層で出来ています。
- トップページ:ショップの顔となるページ、会社概要なども紐付けられる
- カテゴリページ:価格や商品ジャンルなどで商品を分類するページ
- 商品ページ:カテゴリに紐付けた個別の商品を登録するページ
全てのページを作成すれば、ネットショップとして形が出来上がり、商品を販売できるようになります。
商品ページやトップページはHTMLやCSSなどのプログラミング言語を用いて作成できますが、わからない方も多いと思います。
その場合は、楽天から提供されているテンプレートや外部ツールを活用することで作成ができます。
詳細は以下の関連記事に記載していますのでぜひご連絡ください。
【楽天ECサイトの作り方】誰でも簡単に映えるデザインにする方法
なお、商品ページなどの作成が完了したら、最後に開店審査が行われます。
開店審査で主に見られているのは、以下の内容です。
- 楽天からの振込口座の登録
- 楽天への自動振替設定口座の登録
- 配送に関する設定
- 商品登録
- 看板画像の作成
開店審査は出品審査より難しいものではなく、開店して販売ができる状況にあるかが最大の論点のため、RMSが使えるようになったら開店までに対応しましょう。
楽天市場で出店してみて分かった費用
楽天市場に出店してみて、要した費用について紹介します。
費用はタイミングの観点で切り分けると、2つに大別されます。
- 出店時に発生する費用
- 運営時に発生する費用
私の場合は、商品を最初から倉庫に預けて保管場所と物流業務を効率化しました。
出店時に発生する費用
商品数も50もなかったため、「がんばれ!プラン」からスタートしました。
その際に発生した費用は以下の通りです。
内容 | 費用 |
商品仕入れ | 300,000円(税別) |
物流倉庫(保管料) | 50,000円(税別) |
初期登録費用 | 60,000円(税別) |
月額出店料 | 234,000円(税別) |
この他にもパソコンを持っていない人は、パソコンを用意しておいた方がよいでしょう。
高スペックである必要はありませんが、5年落ちのようなパソコンの場合は、動作がカクついくことや、重い画像ファイルを扱うとフリーズすることもあるため、できれば安くても最新のパソコンが良いです。
またパソコンはMacでもWindowsどちらでも操作は可能です。
運営時に発生する費用
次に運営していく中で、発生した費用は下の表の通りです。
内容 | 費用 |
商品仕入れ | 300,000円(税別) |
物流倉庫(保管料) | 50,000円(税別) |
物流倉庫(出荷料) | 60,000円(税別) |
システム利用料 | 5.5~7.0% |
システムサービス利用料など | 3~4% |
システム利用料などの売上は公開できませんが、料率である程度の規模が推察いただけるかと思います。
物流業務を倉庫に出したことにより稼働が空いたものの、扱う商材が大きく配送料を企業で負担していたため、出荷料が高くなりました。
物流業務を加味すると、小さめで管理が簡単で、高い利益率を実現できる商品を扱うのがポイントだと実感しました。
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楽天市場の出店審査に落ちる要因
楽天市場の出店で、最も難しいといわれるのが出店審査です。
楽天市場は国内で最も売上を上げている企業ですが、楽天だけでは事業は成り立ちません。
楽天はECモールですから、多くのショップの支えがあるからこそ事業が継続できているのです。
楽天市場を使うユーザーが多いのは、調べればどんな商品でもそろう品ぞろえと、ユーザーファーストなショップが楽天市場を支えていることの裏返しでもあります。
では、楽天市場の審査で落ちる要因について具体的に見ていきましょう。
審査で落ちる要因は特定できない
まず大前提として、楽天市場の出店審査に落ちたとしても明確な理由は分かりません。
そのため、手を変え品を変え対策を試みても何度も落ちる企業もあれば、手続き通りに設定をすれば通過する企業もあります。
出店審査の感覚は楽天SEO対策にも似ていることがあり、正解はわからないものの楽天市場が目指す方向性を理解することで、合格されやすい状況を作ることができます。
審査に落ちる要因として大きく言われているのは、3つあります。
- 取扱禁止商品を扱っている
- 個人の副業として開設をしようとした
- 実店舗など実績が全くない
それぞれ詳細を見ていきましょう。
取扱禁止商品を扱っている
まずやってはいけないことが、楽天の出品ルールを守らないことです。
ルールを守らなければ、当然ながら楽天市場で出店することは叶いません。
楽天市場で定められている取扱禁止商品は以下のものがあります。
法令で販売・所持が禁止されているもの(例:銃砲類、刀剣類)
公序良俗・モラルに反するもの(例:使用済みの下着、制服、水着、体操服等)
商品に関する契約等で譲渡・転売が禁止されているもの(例:預貯金や証券の口座、預貯金通帳等)
悪用される恐れのあるもの(例:免許証、パスポート、健康保険証等の身分証明書等)
青少年の保護育成上好ましくないもの(例:アダルトグッズ等)
危険なもの(例:爆発物、高圧ガス等の危険物等)
他人の権利・利益を侵害する可能性のあるもの(例:偽ブランド品、レプリカ、ブランド品のリメイク品や類似品、真正品であると証明できない商品等)
その他楽天市場が不適切と判断したもの(例:根拠のない「金運上昇」や「波動」等、迷信もしくは迷信に類し、または非科学的な表現を用いた商品等)
特に危険物やコンプライアンス違反と捉えられる商品は、扱うことができなくなっています。
個人の副業として開設をしようとした
楽天市場は前述の通り、品質の高いショップを厳選しているため、個人が出店するにはハードルが高いです。
個人が出店する場合は、個人事業主として登録する必要がありますが、サラリーマンが副業として出店するケースは禁止されています。
また個人事業主であっても開業届の提出は必須であり、事業として運営されているかが見られています。
副業かどうかは判断が難しいところですが、おそらくは次に続く実績の規模を見て、副業か否かを判断していると想定されます。
実店舗など実績が全くない
実績がない場合も審査になかなか通りません。
実勢は店舗としての販売実績や売上のことはもちろん、前年度の確定申告による報告も実績にカウントします。
法人より個人は信頼度が低いため、特に実績を見られていると考えましょう。
また、法人であっても扱っている商品が明確になっていない場合や、知名度のないブランド商品の場合には、審査を通過することは難しいです。
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これで落ちない!楽天市場に出店できる方法
楽天市場で落ちる要因について見てきましたが、ここからは実際の対策について紹介します。
出店審査に落ちないためにやるべき対策は4つあります。
- 取り扱い商品を除外する
- 実店舗や自社ECサイトなどで実績を積む
- 法人化する
- 出店経験のある代行会社に依頼する
1つずつ詳細を見ていきましょう。
取り扱い商品を除外する
禁止されている取扱商品が混ざっている場合、楽天市場の品質担保につながらないため審査に落ちます。
取扱商品も具体例が1つ1つは明記されていないので、自社の取り扱う商品が該当しているのか判断が難しいところです。
判断に悩む時は、取り扱い禁止の考え方に近い商品の出品を見送った方が無難でしょう。
もう1つの調べ方としては、楽天市場に出品されているのかも目安になります。
ただ楽天市場に出品されている商品しか取り扱っていなければ、他社と競争を余儀なくされるためバランスを見て商品を揃えましょう。
実店舗や自社ECサイトなどで実績を積む
楽天市場が品質を担保するために重要視しているのが実績です。
法人化しても、実績がなく楽天市場が最初の出店である場合には通過するのは難しいでしょう。
そういった場合は、実店舗や自社ECサイト、Yahoo!Japanなどその他のECサイトで実績を作るようにしましょう。
信頼度を訴えるのに実績ほど分かりやすいものはありません。
自社のECサイトであれば今後楽天との両立も検討できますし、その他の大手ECサイトであれば楽天市場と異なり固定費がかかりません。
国内最大の楽天市場に挑戦したい気持ちはおさえてまずは小さなところから、レベルアップしていきましょう。
法人化する
個人事業主が出品審査に通りづらい理由は、法人より信頼性が落ちるからです。
個人でも法人でもちゃんと運営しているところがあることは事実ですが、銀行のローンしかりまだまだ個人より法人の方が優遇されているのは事実です。
実績を積むために楽天以外で販売することを説明しましたが、実績を積むことで利益が産まれます。
産み出した利益をもとに法人化してしまえば、それだけで実績と法人名義の両方が手に入ります。
法人にすることで、規則などを整備しなければならない一方で、社会保障などを受けられるため、今後利益をあげたい企業は先に法人化することも検討してみてください。
出店経験のある代行会社に依頼する
あの手この手で対応しても審査に通過しないことがあります。
自社だけで対応が難しい場合は、代行会社に依頼するのも1つの方法です。
自社の場合楽天出店の経験も多くて数回程度ですが、代行会社であれば出店経験が多く、経験値から対策すべき項目をサポートしてくれます。
また作業を代行業者に委託できるので、運営する企業の稼働削減にもつながるため、使うメリットは大きいです。
楽天出品代行の中には、商品ページの作成まで一貫して対応してくれる会社もあるため、自分にあった代行業者を選びましょう。
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まとめ
楽天市場に出店するには、販売する商品を仕入れ、楽天市場の公式HPに出店フォームを送信、自社のサイトページを作成することで完成します。
楽天市場は出店者の品質を担保するため、審査が難しいことで有名です。
審査に落ちた明確な理由は、伝えていないため詳細はわかりません。
しかし多くの事例から主な要因は「楽天のルールを守っていない」「個人事業主で副業として扱っていると判断されている」「実績が全くなく信頼できない」と言われています。
落ちる理由に対して、法人化するなど対処は可能ですが、それでもうまくいかない場合は数多くの出展をサポートする代行会社に委託する方法も検討しましょう。
楽天の出店で審査が落ちる理由は明確には提示されません。ただし、以下を参考にしてみてください。例としては、「取扱禁止商品を扱っている」「個人の副業として開設をしようとした」「実店舗など実績が全くない」といった場合審査に落ちることがあるようです。
落ちる理由に対して、法人化するなど対処は可能ですが、それでもうまくいかない場合は数多くの出展をサポートする代行会社に委託する方法も検討しましょう。