Amazonには、他のECモールにはない「相乗り出品」という仕組みがあります。
商品ページがひとつにまとまるため、ユーザーにとっては分かりやすい一方で、セラー側からすれば他店との差別化が難しくなる要因となります。
Amazonの基本は相乗り出品ですが、相乗り出品ばかりではレッドオーシャンになってしまいます。
相乗り出品の性質を理解し、相乗りできないようにするための対策や、相乗り出品以外の方法を取り入れていきましょう。
目次
Amazonの相乗り出品とは?
Amazonの相乗り出品とは、既に他店に出品されている商品を自店でも出品する際、既に作成されている商品ページを共有して出品することを指します。
Amazonでは、商品ページは1ページしか作成できないため、複数店舗が同じ商品を出品する際は、1つの商品ページに出品店舗がノミネートする形になります。
1商品につき商品ページは一つだけ作れる
Amazonでは、1つの商品につき、商品ページは1つだけと決められています。
特定の商品を出店している店舗が、Amazon内に1店舗だけでも10店舗あっても、1ページしかありません。
そのため、既にAmazonで誰かが販売している商品を自店でも販売したい場合、商品を購入できるショップのリストに自店を加える(=相乗り出品する)形になります。
相乗り出品する際はとてもラクですが、ライバルが増えると選ばれる確率が下がり、売れにくくなります。
型番商品は相乗りできる
Amazonで相乗り出品できる商品は「型番商品」と呼ばれています。
型番商品は、メーカーが製造した商品で、JANコードや商品番号、製品番号、商品名が割り当てられた商品です。
商品ごとに固有の番号が振られており、他の商品と重複しないため、商品を特定できます。
ユーザーは商品を探す際に、セラーは相乗り出品の際に、型番やバーコードなどを使って商品を検索することもできます。
オリジナル商品なら相乗りを排除できる
オリジナル商品は、型番商品と違い、JANコードや商品番号、製品番号などがなく、出品者が独自に生産、販売する商品です。
自店で生産した商品をどこにも卸さずに自店のみで販売すれば、他店が在庫を持てない(=販売できない)ので、相乗り出品されるリスクがなくなります。
ただし、相乗り出品と違い、商品ページが存在しないため、Amazonへ出品する際は自身で商品ページを作成する必要があります。
オリジナル商品をユーザーに購入させるための戦略が必要ですが、ライバルの相乗りがないため、価格競争に巻き込まれることもありません。
相乗り出品をするメリット
認知度が高い商品を選べば売りやすい
相乗り出品できる商品の中には、既に認知度が高い商品も多くあります。
既に認知されている商品のブランド力を活かすことが出来れば、認知度0から売らなければならないオリジナル商品より、グッと売りやすくなります。
ただし、Amazonでは、販売実績を積んでいる優良な店舗が有利なため、先に出品している店舗を後発組が簡単に抜けるという訳ではありません。
主に広告で工夫して集客する必要があり、認知度の高い商品なら相乗り出品すれば簡単に売れる訳ではないので注意しましょう。
Amazonの効果的な広告の出し方については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。
商品ページを作る手間が省ける
相乗り出品なら、商品を出品するのに手間がかかりません。
PCで該当の商品ページを開き、右下にある「マーケットプレイスに出品する」をクリックすれば、簡単に出品できます。
それに比べて、商品ページを新規作成するには、競合ページやキーワードを調べてタイトルやテキストを作成し、画像を用意するといった手間がかかります。
相乗り出品者なら、そういった商品ページの作成も編集も必要ないので、定期的に商品のキーワードを調べて更新するような手間もカットできます。
商品が売れるかどうかを推測しやすい
既に出品されている商品なら、実際に販売する前に、Amazonでの売れ行きやキーワードをリサーチができます。
オリジナル商品を出品する場合は、類似商品を目安にするしかありません。
オリジナル商品の販売は、目新しい商品をAmazonユーザーがどれくらい購入するか事前に予測を立てるのが難しく、確保しておく在庫の数も読み切れません。
型番商品なら、実際にAmazonでどれぐらい売れているかリサーチしたうえで、商品を仕入れるか、販売をするかを決められます。
販売実績を追うことができれば、ある程度の予測を立ててから出品できるので、在庫を持ちすぎることもなく、安全に販売できる点が大きなメリットです。
相乗り出品をするデメリット
商品ページを作成・編集できない
商品ページが既に作成済みの商品に相乗り出品する際は、商品ページの作成や編集はできません。
Amazonではひとつの商品ページを出品者全員で共有するため、商品ページを作成・編集するには、その商品の編集権限が必要です。
商品のメーカー(ブランド保有者)がAmazonに出品している場合、ブランド保有者が編集権限を持っていることがほとんどです。
後発で相乗り出品する店舗は、キーワードや紹介文を編集することも、もっと良い画像へ差し替えることもできないので、自身で独自の売り方を試すのは難しくなります。
価格競争に巻き込まれやすい
相乗り出品の難点は、価格競争に巻き込まれやすい点です。
Amazonでは、同一商品を出品している全ての相乗り業者と商品ページを共有します。
多くのセラーの中から自店を選んでもらうには、販売価格を他のセラーよりも安く販売するのが一番手っ取り早い方法です。
価格を下げるのは簡単ですが、値下げをきっかけに価格競争が起こってしまうと、売れても利益がないか、最悪の場合、売れずに在庫を抱えてしまうリスクも出てきてしまいます。
Amazonの価格競争については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。
カートを獲得するまでが難しい
同一商品を販売するセラーが複数いる場合でも、商品ページには「カートに入れる」ボタンはひとつしかありません。
この「カートに入れる」ボタンは、複数のセラーを代表して1店舗しか設置(カート獲得)できないため、相乗り出品だと必然的にカートの取り合いになります。
カート獲得は、
- 販売実績
- 注文不良率
- キャンセル率
- 出荷遅延率
- お届け予定日
- カスタマーサービス
などのパフォーマンスが良いほど有利です。
広告を使って自店に呼び込んだり、販売価格やポイントでアピールしたりして、販売実績を積み上げていかなければカート獲得は出来ません。
相乗り商品で競合と差別化するには
広告やイベントを活用する
相乗り出品で競合と差別化し、自店の商品を選んでもらう手段として、広告やイベントの活用がおすすめです。
広告を出した商品がクリックされると、その商品の購入ページは自店のカートになります。
イベントでは、通常の価格とは別にイベント用の割引を設定することができます。
広告やイベントは、カート獲得できない店舗が販売実績を積むチャンスです。
イベントや広告でも、他店より多く販売実績が積めたらカート獲得が有利にもなりますので、チャンスを活かしていきましょう。
配送や対応などサービス面に特化する
相乗り出品で、競合ではなく自店を選んでもらうための手段として、配送や対応に特化するのも有効です。
ユーザーが欲しい商品の購入先を複数のショップから選ぶ際、出品価格が同じなら商品が早く届く方を選びやすいため、配送が早い方が有利です。
発送の迅速さやカスタマーサービスの質は、カート獲得率にも影響があります。
また、対応が良いショップは高評価レビューをもらいやすく、リピート客も付きやすくなるため、相乗り出品でも他店との差別化に繋がります。
Amazonで配送や対応面を強化する施策としては、FBAもおすすめです。以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。
価格や送料・ポイントなど売り方を工夫する
商品の販売価格や送料、ポイントなど、売り方を工夫することでも、他店との差別化が図れます。
手っ取り早いのは販売価格を下げることですが、それをしてしまうと利益を圧迫したり、価格競争になって自分の首を絞めてしまう可能性も高まります。
値下げに走るよりも、送料無料やポイント還元、割引クーポン配布など、販売価格の値下げ以外の手段がおすすめです。
「Wacworks」では、Amazonの運用方法や売上の伸び悩みでお困りの方に向け、現状の最適な施策を打ち出します。
- Amazonの売上を伸ばしたい
- 相乗り出品に負けたくない
- 社内のリソースを増やしたい
運営の最適解が分からずに悩んでいる場合は、お気軽にご相談ください。
相乗り出品を防ぐ対策
商標権を取得しておく
相乗り出品を防ぐには、商標権の取得が有効です。
商標権は、自社ブランドの商品やネーミング、ロゴなどを勝手に使用されないよう、「知的財産」として保護してもらえる権利。
その商品が、自社以外で販売できない(何処にも卸していない)商品であれば、相乗りしてきた店舗は偽物を出品していることになります。
<商標権取得で他店が相乗り出品できない理由>
偽物を出品された場合、知的財産権の侵害としてAmazonへ通報できる通報できる手段を持つことで、他店が相乗り出品できないように牽制できる。
通報する際は、Amazonの「ヘルプ&カスタマーサービス」の「知的財産権の侵害についての申し立てとその手続き」から申告できます。
その商品が自社のオリジナル商品で、排除したい相乗り業者が出品しているのが偽物である場合に有効な手段です。
セット販売にする
セット販売にする方法でも、相乗り出品を防げます。
既にAmazonで出品されている商品を単品で販売する場合、その商品にはASINというAmazon専用の商品番号が発行されています。
それならば、その商品単体ではなくセット商品にすることで、新しいASINを作成出来れば良いというわけです。
<セット販売で他店が相乗り出品できない理由>
- 商品をセット組みして梱包する手間が増える
- セット組で出品するための規約があり、手を出しにくいセット組の内容やパッケージなどがわからず、他店が真似しにくい
その商品が相乗り出品できる型番商品の場合に有効な手段です。
相乗り出品を的確に行って売上を上げたい方はWacworksにご相談ください
Amazonでは相乗り出品はポピュラーな運営手法ですが、かなりのレッドオーシャンでもあります。
価格競争のリスクも払拭できないため、ビジネスを拡大するには、他店との差別化を図り、独自のルートを確立する必要があります。
Wacworksは、100店舗以上の支援実績と経験があるECモール運用のスペシャリストです。
安売り以外の手段や店舗に最適な方法、店舗独自の集客やブランディングの創出をご提案できます。
相乗り出品対策だけでなく、ネットショップ運営でお困りの際には、是非お気軽にWacworksまでお問い合わせください。
まとめ
相乗り出品だけで店舗を運営するとなると、どうしても価格競争のリスクが拭い去れません。
また、ユーザーとの信頼関係を構築し、リピーターになってもらうようなアプローチも、手段が限られてしまいます。
そのため、相乗り出品以外にも、オリジナル商品や自店のセット商品を作るなど、運営方法に広がりを持たせることが肝心です。
自店だけの特色があるアプローチを増やせると、ネットショップを成長させる足掛かりになります。