ECを運営する方からの関心が年々高まるバナー。実際にマーケティングに関わっている方の中には、「楽天市場のバナー広告ってどうなの?」といった疑問をもっている方も多いのではないでしょうか。
本記事ではそんな方々に向けて、楽天市場が提供するバナー広告の特徴をわかりやすく解説していきます。実際に費用や時間を投資する前に情報を得て、自身の考えているマーケティングにマッチしているかを確認していきましょう。
目次
楽天市場はバナー広告だけじゃない?広告の種類をおさらい
まずはおさらいも兼ねて、楽天市場が提供している広告の種類を確認していきましょう。楽天ターゲティングディスプレイ広告と、従来から存在しているディスプレイ型の2つに分類できます。
楽天ターゲティングディスプレイ広告
楽天市場が提供する1つ目の広告が、楽天ターゲティングディスプレイ広告です。楽天ターゲティングディスプレイ広告は運営者が設定した属性をもつユーザーに対し、バナー広告を配信する広告です。
セグメントを柔軟に変更できる、インプレッション課金型といった特徴から、扱いやすい広告と認識されています。小額からバナー広告にお金をかけ、しだいに楽天市場内のマーケティング感覚を養える点もターゲティングディスプレイ広告の魅力といえるでしょう。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告も楽天市場が提供する広告の1つです。マーケティングに詳しい方にはおなじみの、広告枠を購入するタイプの広告です。楽天スーパーセールといった大きなイベントのタイミングを使用することで、高い効果を見込めます。
ただし、インプレッション課金型の広告よりも、リスクが高いとされる広告であることも事実です。一般販売されている広告枠や優先販売枠など、さまざまな購入時期が提示されていますが、どれも投資分を回収できるかは不透明です。
楽天市場が提供するバナー広告のメリットとデメリット
では次に楽天市場のバナー広告を利用する際の、メリットとデメリットを紹介していきます。ターゲティングに活用できる、ビジュアルを訴求できるといったメリットがある一方で、敷居が高く感じられるという弱点がある点もバナー広告の特徴です。
メリット1、楽天市場でのターゲティングに活用できる
楽天市場のバナー広告を活用する1つ目のメリットが、ターゲティングに活用できることです。先程触れたように、楽天市場の各所にバナーを掲示する楽天ターゲティングディスプレイ広告には、基本的に自分自身でセグメントを設定する方式が採用されています。
そして、バナー広告の精度は、適切なマッチングを実現できるかどうかにかかっています。表示させる回数が多ければいいわけではなく、アイテムを求めているであろうユーザーに訴求する意識をもつことで、効率の高いターゲティングを実現できます。
メリット2、ビジュアルを訴求ができる
ビジュアルを訴求できることも、バナー広告ならではの魅力です。言わずもがなではありますが、文章だけの広告よりもイメージを喚起できる広告のほうが効果的です。そして、「どういったデザインで店舗の魅力を伝えるか?」を決められる点が、楽天市場が提供するバナー広告の魅力です。
バナー作成に伴う手間暇が増えることも事実ですが、視覚的な訴求を意識した広告を打てるECはさほど多くありません。
デメリット、バナー広告の中では敷居が高め
さまざまなメリットのある楽天市場のバナー広告ですが、その他の企業が提供する広告の中では敷居が高めです。「ビジュアルで訴えられる」点が魅力である一方で、広告になるまでには楽天市場による審査を突破する必要があります。あらかじめ決められている規定にのっとり、色数制限やフォントサイズなどの確認がおこなわれます。
また、気軽に始められるイメージがあるバナー広告ですが、楽天市場の場合は50,000以上の運営費が必要です。「数百円から広告が始められる」と謳う企業がある一方で、楽天市場には高めのハードルが設けられています。
バナーの設定だけじゃない?楽天市場へ広告を出すためのステップ
次に、楽天市場のバナー広告を実際に使用するためのステップを紹介していきます。審査などの待ち時間が存在することも事実ですが、運営者がおこなうべき「キャンペーン作成」と「バナー作成」の2ステップを深掘りして紹介します。
キャンペーン作成する
楽天市場の運営者が1つ目におこなうべきステップが、キャンペーンの作成です。キャンペーンの作成は、セグメントの調整と言い換えられることもあり、「広告をどんな属性をもつユーザーに発信したいか?」を決める作業を指します。
手順は簡単で、RMS上にあるターゲティングディスプレイ広告を選択し、新規キャンペーンの以下の各項目を埋めるだけです。
- キャンペーンの名称
- 広告を打ち出す期間と予算
- 入札を行う単価
- 配信のペース
- パッケージの種類
- 対象と考えるユーザーの属性
バナー入稿
楽天市場におけるバナー広告の出稿において、2つ目におこなうべき作業がバナーの入稿です。言い換えれば、訴求するデザインを楽天に審査してもらう段階です。バナー広告の入稿もキャンペーン作成と同じく、「RMS上にあるターゲティングディスプレイ広告」から実施できます。
設定が完了したら、あとは楽天の審査結果を待つだけです。フェーズに移動します。原稿欄が審査完了となれば登録完了となるので、出稿可能です。仮に修正が必要となった場合は、メールまたは管理画面へ通知されるため、しっかりと確認しておきましょう。
楽天市場のバナー広告の成果を最大化する3つの施策
ここからは楽天市場のバナー広告を、より効果的に活用する施策を紹介していきます。多くの人に知ってもらうための広告ではありますが、楽天市場においては売上を左右する重要なポイントです。
施策1、デザインにこだわる
楽天市場のバナー広告の効率を高める、1つ目の施策がデザインにこだわることです。楽天市場に限ったことはありませんが、バナー広告の最大の魅力は視覚的な訴求をおこなえることです。「メッセージをバナーデザインで伝えられるか?」を重視しましょう。
また、少し専門的な話ではありますが、できれば無料画像の使用も控えたほうがよいでしょう。運営者にとってコストダウンを図れ、高い人気を誇る無料画像ですが、ユーザーが飽きを感じ始めていることも事実です。「どのバナー広告も同じ」と一括りにされてしまう可能性もあるため、画像に投資をすることも大切です。
施策2、CDPAを回し続ける
楽天市場のバナー広告を使い、しっかりとした利益につなげるためにはCDPAを回し続ける必要があります。手軽に始められる点が魅力のバナーですが、残念ながら放っておくだけで結果が出る代物ではありません。
継続的な結果を求める運営者は、2週間に一度、1ヶ月に一度といったスパンで結果を見る機会を設けましょう。楽天が提供している分析ツールを上手に活用すれば、「どのくらいのPVを稼ぎ、転換率がどのくらいか?」といったイメージを作れます。また、次の一手を打てることも、PDCAを回し続けることで出にできるモノです。「うまくいるけど、いつ状況が変わるかもわからない」といった想定をし、継続的な実測をつづけましょう。
ちなみに、楽天市場には「売上改善アクションツール」という、次の施策を提示してくれる機能も搭載されています。以下のサポートをしてくれるため、事前に把握しておきましょう。
- 1つのアイテムに対するアクセス総数
- ユーザーがアイテムにアクセスする際に使用したキーワードトップ5
- キーワードごとの流入数
- キーワードを使用してアクセスしたユーザーのうち、次のアクションを起こした割合(転換率)
- 1つのキーワードを使用した際に楽天市場内で何番目に表示されているか
- 次に起こすべきアクションの提案
施策3、コンサルティングや運用代行に相談する
楽天市場でバナー広告の効果を高める3つ目の施策が、コンサルティングや運用代行に相談することです。楽天市場に限ったことではありませんが、しっかりとした実績につなげるためには第三者の力を借りるべきシーンがあることも事実です。費用を心配する運営者も少なくありませんが、「結果が出ない限り費用が発生しないシステム」を採用している企業も少なくありません。
コンサルティングや運用代行に相談する場合は、以下ような実績のある会社をチョイスしましょう。
- 株式会社Wacworks:amazonや楽天市場の運用に精通したコンサルティング企業。代行業務サービスも提供しているが、コンサルティングの分野に強く、運用を熟知したコンサルタントから確度の高いアドバイスを受け取れる。運用代行においても、広告の運用から事業全体をサポートする体制を用意。PDCAサイクルの高速化により、短期間で売上につながる体制を構築可能 EC・D2Cの支援なら株式会社Wacworks(ワックワークス)
- ECコンサルティング株式会社:楽天市場において、しっかりとした実績をもつ企業。数あるコンサルティング企業のなかでも、1つの店舗ごとにオーダーメイドの提案をしてくれる点に強みがある。店舗にあわせた提案をするため、状況に応じた提案が受けられる。「広告を出しましょうといった提案が少ない」といった口コミも多い ECコンサルティング株式会社
- コマースメディア株式会社:楽天市場だけでなく、amazonをはじめとしたさまざまなECサイトの運営に精通したコンサルティング企業。楽天市場での広告運営はもちろん、自社サイトと併用するようなケースであれば、それぞれのサイトに適切な役割をもたせることが可能。広告の運営だけでなく、コスト面のフォローアップなど幅広いサポートが受けられる コマースメディア株式会社
楽天市場が提供するバナー広告を活用する際の注意点
最後に、楽天市場でのバナー広告運用における注意点を解説していきます。利益をあげるための施策であることは事実ですが、一時的なコンバージョン率の低下やイメージダウンを引き起こすリスクがあることも理解しておきましょう。
コンバージョン率が低下する
楽天市場のバナー広告を利用する際の1つ目の注意点が、コンバージョン率が低下するがあることです。一般的なイメージでは「多くのユーザーの目に留まる=コンバージョン率があがる」と思われがちですが、PVが高まるほどコンバージョン率は低下します。
そのため、コンバージョン率を重視する運営者は、必ずこの法則を理解しておきましょう。理解が乏しいほど、バナー広告を利用したのに結果が出ないといった誤解を招く可能性が高まります。
イメージダウンを引き起こす
イメージダウンを引き起こすリスクがあることも、バナー広告を使用する際に気をつけたいポイントの1つです。特にバナーから想起されるイメージと、店舗とのギャップには細心の注意を払いましょう。
バナー広告という方式は、楽天市場内に限ったシステムではありません。検索エンジン内でも使用されており、「広告がしつこい」といった印象をもつユーザーがいることも事実です。運営方針にもよりますが、定着したファンの数の維持を重視する場合は、しっかりとしたセグメントの調整が必要不可欠です。
目的が不明確になる
バナー広告を利用する際に気をつけるべき3つ目のポイントが、目的が不明確になることです。これまでに触れてきたように、バナー広告はPV数のアップに効果的です。ただし、売上やコンバージョン率を高める効果があるわけではありません。以下の2つのパターンのように、目的意識を持ち、適切な運用をおこなうことが重要です。
- ブランドの認知度をあげる:店舗のファン予備軍を作るための施策。性別や年代、閲覧履歴といったセグメントにおいて、ペルソナを絞り込みすぎないことが重要。ペルソナの抽象度をあえて粗く設定することで、新たなマーケティングの創造を見込める
- 売上を作る:性別や年代、閲覧履歴だけでなく、購買履歴などを設定することで、ペルソナの解像度をあげることが重要。メンズスニーカーを扱う店舗であれば、購買履歴を設定することで「購入を考えている」ユーザーにのみバナー広告を表示できる。クリック課金方式であるため、無駄なコストを削減することも可能
まとめ
楽天市場内に限ったことはありませんが、実績のあるEC運営者の多くはバナー広告を上手に活用しています。「楽天市場のバナー広告ってどうなの?」といった関心をもっている方は、メリットとデメリットを理解することから始めていきましょう。
また、楽天市場におけるバナー広告には、「セグメントを調整できる」、「少し敷居が高い」といった特徴があります。受け止め方はさまざまですが、審査があることでライバルが減る、しっかりとした広告を作れると捉えられる運営者には、楽天市場のバナー広告がおすすめといえます。
最後に、バナー広告をうつことによるリスクを理解できれば、その効果を十分に享受できます。自分のレベルに合わせ、PDCAを回し続けることで確かな実績を手にできるでしょう。