amazonの出品者用アカウントを取得することで、使用できるセラーセントラル。ECの運用を始めようと考えている方のなかには、「セラーセントラルってなに?」と感じている方も多いのではないでしょうか。今回はそんな方々に向けて、amazonが提供するセラーセントラルの活用方法を徹底解説していきます。売上確認だけではないセラーセントラルの機能を活用することで、EC運用を効率化できるでしょう。
目次
amazonが提供するセラーセントラルは売上確認をおこなうツール?
amazonが提供するセラーセントラルとは、amazonを商品販売の場として利用する際の出品用アカウント用管理ページを指します。「売上確認をおこなうためのツール」と解釈されることも珍しくありませんが、概要や操作方法を正しく理解することで作業の効率化を実現できるでしょう。
セラーセントラルへの登録手順と必要
出品などの作業をおこなう前に、まずはセラーセントラルの登録をする必要があります。以下の手順に習い、セラーセントラルを利用するためのアカウントを取得しましょう。
- アカウントの作成:amazonの公式URLをクリックし、「出品者用アカウントの作成」を選択。メールアドレスでの認証をおこなう。
- 業種の選択:事業所の所在地選択、業種、氏名を入力をおこなう。
- ビジネス情報と法人情報、マーケットプレイス、クレジットカードの入力:確認のための電話番号と個人情報の入力、および支払い方法の登録をおこなう。顔写真入りの身分証明書と180日以内に発行された各種明細書の添付が必須。
セラーセントラルへの登録をおこなう際の注意点
セラーセントラルへの登録をおこなう際は、「プラン選択」と「ビデオ審査が必要になる場合がある」点に注意しましょう。登録をする前に、プランごとの違いを把握しておきましょう。
- プラン1、大口出品:商品の出品数や契約数に関わらず4,900円の月額登録料が発生するプラン。基本成約料が発生しない一方で、本やDVDなどのメディア商材を扱う場合は、「カテゴリー別成約料」が別途発生する点に注意が必要。また、大口出品のみ一括商品登録や注文レポートなどの、細かなビジネスレポートの取得が可能。
- プラン2、小口出品:4,900円の月額登録料が発生しない一方で、商品が購入されるごとに100円の基本成約料が発生するプラン。
また、先ほど紹介した手順を経ることで取得できる出品者用アカウントですが、まれにAmazon担当者とのビデオ通話を求められるケースがあることも把握しておきましょう。出品に関する細かな審査がおこなわれるわけではありませんが、「登録した氏名とメールアドレスの暗唱」、「本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)の原本確認」といった手間が発生することがあります。
さらに、届出が必要なアイテムを取り扱う場合には、事前申請が必要になるケースがあることも把握しておきましょう。amazonが指定している「制限対象商品」と「製品コードがな
商品」を販売する場合は、事前の販売許可を得る必要があります。取り扱う商品に制限がかかっていないか、オリジナル商品やハンドメイド商品ではないかを確認しておくことも重要です。
amazonのセラーセントラルをフル活用!初心者が活用すべき6つの機能
次に、amazonが提供するセラーセントラルに用意されている機能を紹介していきます。予め用意されている数々の機能を理解しておくことで、不要な手間を省いたEC運用を実現できるでしょう。
出品作業の手間を減らす「カタログ」
amazonへの出品者が活用すべき1つ目の機能が、セラーセントラルトの「カタログ」です。amazonでの出品作業に関する機能であり、商品登録や詳細設定を行うページです。次の9つの手順を踏むことで、出品作業を簡略化することができます。
- 登録したい商品がすでに出品されているかの確認
- 商品カテゴリーの設定
- 製品コードの入力
- 重要情報の入力
- 出品情報の入力
- 商品画像の登録
- 商品説明の入力
- 検索キーワードの設定
- 詳細情報の入力
特にしっかりと確認しておきたいポイントが、登録したい商品がすでに出品されているかどうかです。amazonにおいて同一商品と認識されるアイテムは、すべて相乗り出品となります。相乗り出品とは最初の出品者をオリジナルとし、その後の出品者がオリジナルを模倣する考え方を指します。出品作業を簡素化できる一方で、オリジナリティを表現しにくいといった特徴があることを把握しておきましょう。
価格変更作業の手間を減らす「価格」
amazonへの出品者が、2つ目に活用すべき機能が「価格」です。名称からもわかるように、価格は出品済み商品の価格変更作業をサポートしてくれる機能です。セラーセントラルの価格タブを選択することで、アイテムごとの価格設定を変更できるため、さほど複雑な作業は必要ありません。
ただし、出品数が増え、価格調整作業の工数が増加している場合は「価格の自動設定機能」を活用することをおすすめします。価格の自動設定機能とは、おすすめ商品価格の変更などに対応しており、事前に設定しておくことでカタログ内のSKU価格を自動的に調整してくれます。
一見すると競合に負けないための対策に見えますが、amazonでの売上アップにつながるカートボックスを取得するために必要な作業です。自動設定機能を活用することで、他社よりも安いことをamazonに訴求し、購買に繋がりやすいとされるカートボックスを取得しやすくなります。
データ管理を簡素化する「在庫」および「注文」
データ管理を簡素化してくれる機能が、「在庫」および「注文」の機能です。こちらも名称からわかるように、ストックしている在庫数および注文に関する情報を一覧化をサポートしてくれます。
在庫機能にはデータアップロードによる商品一括登録だけでなく、出品商品を一覧から個別の在庫状況を確認できる在庫管理をサポートしてくれます。また、別途手数料を支払う必要がありますが、FBAを活用するセラーだけが利用できる「FBA在庫管理機能」も用意されています。
また、amazonのセラーセントラルには、購入者の情報や配送状況を確認できる注文機能も用意されています。在庫機能と連動させることで、配送状況にあわせた在庫管理をおこなうことが可能です。ただし、FBAによる在庫管理は、「あくまでもamazon倉庫内の実績である」点には注意が必要です。ほか倉庫からの商品配送を行っている場合は、実績にズレが生じるため手管理が必要になることも把握しておきましょう。
露出度を調整する「広告」
amazonへの出品者が活用すべき4つ目の機能が、露出度を調整する広告です。これからECの運用を始める方は、amazonがプラットフォームだけなく事業者向けの広告枠を用意していることも、事前に把握しておきましょう。
またamazon提供している広告には、次の3つの種類が存在します。
- スポンサープロダクト広告:事前に設定したキーワードが検索されることで表示される広告。検索結果に表示される形式であるため広告らしさが薄く、嫌悪感が抱かれにくいなどの特徴がある。広告を避けるユーザーからのアクションを見込める広告。
- スポンサーブランド広告:商品検索結果の上部に、商品とブランドロゴを表示させる広告。1つのアイテムだけでなく、ブランドそのものを訴求することが可能。大口出品者のみ、ブランド登録済みの出品者のみといった制限があるものの、費用対効果の高い広告と考えられている。
- スポンサーディスプレイ広告:詳細ページに自社製品のアイテムを表示させる広告。商品の詳細ページを確認し、他社と比較することなく購入するユーザーが多いamazonにおいて、新たな導線を獲得できるプロモーション手法。
分析と対策を明確化する「レポート」
amazonが提供するセラーセントラルで、初心者が活用すべき5つ目の機能がレポートです。セラーセントラルトップページのレポートタブからペイメントを選択することで、次の項目の状況を確認できます。
- 一覧:ペイメントレポートの上部に表示される項目。一定期間の利益が表示され、amazonからの入金額を簡単に確認できる
- トランザクション:商品毎の取引データを確認できる項目。商品番号や商品詳細を確認することができ、商品ごとの手数料や割引額が差し引かれた入金額が表示される。
- 留保中のトランザクション:支払い途中や配送中の注文番号を確認できる項目。将来的な売上金額の確認をおこなえる。
- 支払い:amazonから出品者への支払いスケジュールを表す項目。出品者への支払いのがおこなわれ、いつ入金されるかの確認が可能。
- 期間別レポート:指定した期間ごとの収入と内訳を確認できる項目。「概要(PDF)」と「トランザクション(csv)」から表示方法を選択でき、さらなる細分化が可能。
- 広告請求履歴:広告の請求金額の履歴を確認できる項目。
適切なアクションを提供してくれる「販売機会拡大」および「amazon大学」
amazonの運用者であれば、ビジネスにおける適切なアクションを提供してくれる「販売機能拡大」と「amazon大学」の存在も、事前に把握しておきたい機能です。販売機能拡大機能では、出品者が扱う商品における販売可能性に評価や、類似商品の提案といったアクションの提案をしてくれます。
また、変化する市場において、amazonがもつビジネスノウハウを提供してくれる機能がamazon大学です。amazon大学という名称からもわかるように、ビジネスノウハウをオンラインで手軽に学べる場を提供してくれます。初歩的な項目が多いため、自身に必要な情報かどうかを見極めることも重要です。
amazonのセラーセントラルは売上確認だけじゃない?売上アップつながる活用方法とは
最後に、amazonが提供するセラーセントラルを活用し、売上アップにつなげる具体的な方法を紹介していきます。これからamazonECの運用を検討している方だけでなく、課題を抱えている方も、事前にチェックしておくことをおすすめします。
売上アップにつながるポイント1、amazonECの特徴を把握する
amazonが用意するセラーセントラルを売上アップにつなげる、1つ目のポイントがamazonECの特徴を把握するというものです。数多くのECが用意されている昨今ですが、amazonには「手数料をおさえられる」、「相乗り出品がメイン」といった特徴があります。
先ほど紹介したように、amazonには「オリジナル商品でない限り相乗り出品とみなされる」という特徴があり、利益化しにくいといったデメリットがあることも事実です。ただし、利益化しにくい一方で、小口出品であれば固定費がかからないといったメリットも存在しています。サイトの作り込みや出店料が必須となるECと比較すると、amazonは新規出品しやすい環境が整っているといえるでしょう。
売上アップにつながるポイント2、小口出品で実運用を開始する
「小口出品で実運用を開始する」ことが、amazonでの売上アップを実現する2つ目のポイントです。使える機能が限定される小口出品ですが、「これからEC運用を始めよう」と考えている方にはおすすめのプランといえます。その理由は、費用をかけずに運用を開始できるためです。
これまでに紹介してきたように、大口出品と小口出品には使用できる機能に違いがあります。ただし、小口出品でも、知識や経験を身につけることは可能です。EC運用の初心者であれば、「実際に出品作業をしてみる」、「パフォーマンスによるamazonから提案を実践してみる」、「amazon大学で学んでみる」といったアクションから多くの知識をも身につけられるでしょう。
売上アップにつながるポイント3、出品プランの変更およびサービス活用を検討する
amazonセラーセントラルを売上アップにつなげる3つ目の活用方法が、出品プランの変更およびサービスの活用を検討するというものです。すでに紹介している通り、大口出品と小口出品の違いは4,900円の月額登録料が発生するかどうかです。
「小口出品のほうが固定費をおさえられる」とされていますが、出品作業や確認できるレポート、広告の有無などの違いをチェックし、大口出品を選択する事業者も少なくありません。売上や出品数にあわせ、適切なプラン選択をおこなうことが重要です。
また、お金をかける必要こそあるものの、amazonが提供するサービスの利用を検討することも重要です。プラットフォームを提供するamazonですが、販売促進につながる「FBA」、「スポンサー広告」といったサービスも提供しています。レポート機能や販売機能拡大ツールを上手に活用することで、弱点克服をヒントを見つけられるでしょう。
まとめ
ECサイトとして認識されているamazonですが、セラーセントラルには出品者をサポートする数々の機能が搭載されています。出品作業を簡略化してくれる「カタログ」や売上確認作業の手間を減らしてくれる「レポート」、新たなアイデアを提供してくれる「販売機能拡大」など、ビジネスを効率化してくれる機能ばかりです。
また、セラーセントラルの各機能が、ビジネスの効率化だけでなく分析と課題の克服に活用できる点も把握しておきましょう。レポート機能で現状の把握をおこない、販売機能拡大で新たなヒントを得、実践してみるというPDCAサイクルを設けることで、着実な売上アップを実現できるでしょう。