ここ数年、楽天では「39ショップ」という独自性を強く押し出すようになりました。
39ショップは税込3,980円の買い物で送料無料になるショップです。
39ショップにはメリットもデメリットもありますので、これから39ショップへの参加を検討するのであればポイントをしっかり押さえておきましょう。
楽天39(サンキュー)ショップとは?
税込3980円の買い物で送料無料になるショップ
楽天市場では、ショップ内での購入額が税込3,980円以上だと送料無料になるショップのことをまとめて「39ショップ(サンキューショップ)」と呼んでいます。
39ショップは2020年3月に導入された施策で、現在は楽天のショップの95%が参加していると言われています。
楽天側としては全ショップに適用したい狙いがあり、39ショップを優遇したキャンペーンを行うなど大きく打ち出しています。
ショップによってバラバラだった送料を統一
2020年に39ショップを導入するまでは、楽天市場に出店しているショップはそれぞれに送料を設定していました。
そのため、送料無料で購入したいユーザーは、商品を購入する前にショップごとに設定されている送料をチェックする手間が必要でした。
楽天市場以外のECモールでもショップによって送料無料になる金額がバラバラなので、楽天は「どのショップも3,980円以上買うと送料無料」というわかりやすい送料設定を打ち出して、他のECモールとの差別化を図っています。
39ショップの対象外になる商品もある
39ショップが販売している商品の中には、購入額が3,980円以上になっても送料無料にならない商品もあります。
- クール便
- 大型便
- 単品配送(他の商品と同梱ができない商品)
- 酒類
- 本・CD(著作物の再販売価格維持制度対象商材に該当する商品)
- 発送元が沖縄・離島・一部の地域にある商品
など、対象外となるのは、あくまでも通常の配送料よりもコストがかかるものです。
※2020年6月30日までにオープンしたショップのみ該当するものもあります。(詳しくは後述します)
これから楽天市場に出店する店舗は強制加入
楽天市場に新規出店する場合、39ショップは基本全員加入となっています。
とはいえ、新規ショップが39ショップに参加せずに販売実績を作るのはかなり厳しいため、これから立ち上げるのにわざわざ39ショップ不参加にするメリットもありません。
ただし、新規出店する場合は、39ショップに加入することを大前提に価格設定や経営戦略を立てる必要がありますので、これから出店を考えている方は気を付けましょう。
39ショップに参加するメリット・デメリット
メリット①:検索結果画面でのクリック率が上がる
39ショップに参加すると、検索結果画面に表示された商品に「39ショップ」のアイコンが表示されるため、クリック率が上がります。
検索結果は販売実績に基づいて表示されるので、39ショップへの参加・不参加でSEOの評価に差が出ることはありません。
39ショップのアイコンがないショップは購入の選択肢から外すというユーザーも少なくないので、クリックされるために39ショップに加入していることが重要です。
メリット②:39ショップ限定のキャンペーンに参加できる
楽天の運営側が39ショップを優遇するキャンペーンを打ち出すことがあり、39ショップに加入していない店舗と比較して有利になります。
楽天側になるべく多くのショップを39ショップに加入させたいという狙いがあります。
そのため、今後も39ショップに加入していない店舗に比べて加入している店舗の方が優遇されやすい状況は続くことが予想されます。
デメリット:商材によっては利益が上がりにくくなる
39ショップに参加すると、送料を負担することによって利益を圧迫されてしまうこともあり、価格の設定をより慎重に行わなければなりません。
商材によっては赤字になってしまったり、かといって全ての商品を送料込みの価格にすると競合との価格設定で負けてしまって選ばれにくくなります。
そのため、競合に負けないような価格を設定した商品でユーザーを呼び込み、そこからセット売りを提案して利益を確保するなどの工夫が必要です。
39ショップへの参加方法
RMSの専用ページから申請する
これから39ショップに参加する場合は、RMSの専用ページから以下の手順で申請します。
RMSからの申請は店舗運営Navi(マニュアル)
>店舗・決済・配送情報などを設定する
>共通の送料込みライン
>左側のリストから「適用対象「39(サンキュー)ショップ」申請」
>同意にチェックを入れて申請ボタンをクリック
申請ボタンをクリックする前に、必ず申請ページの内容を確認しましょう。
個別に配送設定が必要な商品をチェック
39ショップを設定している店舗は、基本的に送料無料ラインを3,980円(※沖縄県・離島・一部地域は9,800円)に設定しなければなりません。
ただし、クール便や大型便、単品配送(他の商品と同梱できないもの)など、通常の送料と比べて配送料が高くなる商品は、39ショップの対象外になることもあるため、配送を個別に設定可能です。
39ショップに参加した後は、個別に配送設定をする商品がないか必ずチェックしておきましょう。
個別設定①クール便・大型便の商品を設定する
クール便・大型便の商品は、アカウントオープン日が2020年6月30日までの店舗に限り、3,980円以上でも送料無料のルールから外すことができます。
もし、大型宅配便やクール便の商品を税込3,980円以上(沖縄・離島等では9,800円以上)で送料無料を適用したいなら、高額購入割引特典の設定が必要です。
高額購入割引は、任意の購入金額に対して送料を設定する方法です。
3,980円以上で送料無料と設定することも、他の金額で送料無料設定をすることもできます。
※大型宅配便:1口当たり20kgを超える商品、あるいは160サイズ(縦・横・高さの合計が160cm)を超える商品
個別設定②単品配送の商品を設定する
他の商品と同梱ができないものも「単品配送」として設定することが可能です。
単品配送として設定できる商品は、以下のような商品に限ります。
- ケース売りの商品
- 産地直送の商品
- メーカー直送の商品
- 長尺・異型の商品
- 出荷地が異なる商品(倉庫と店舗からそれぞれ発送など)
- 温度帯が異なる商品(クールと常温)
これらは個別に単品配送を設定する必要があるので、忘れずにチェックしておきましょう。
個別設定③特定送料を設定する
特定送料として配送料の個別設定ができるのは、「商品がお酒類の場合」あるいは「発送元が沖縄・離島等の場合」の2パターンです。
ただし、送料無料ライン対象外に設定するためには、それぞれ以下の条件を全てクリアしている必要がありますので気を付けましょう。
【お酒類の場合】
- 楽天市場の酒類の商材取扱審査を通過している
- 2020年6月30日までにオープンしたショップ
【発送元が沖縄・離島等の場合】
- 楽天市場に事前申請をする
- 該当の商品の配送設定を「特定送料」に設定する
- 商品ページの「商品説明文」に配送元の住所を記載する
39ショップに参加する際の注意点
送料無料除外となる一部の地域への対策が必要
発送先が沖縄や離島等の場合、送料負担が大きいため、39ショップであっても「9,800円以上の購入で送料無料」となります。
ただし、沖縄や離島に住んでいる人でも、楽天市場で商品を検索する際は一般的な日本国内の送料設定で検索します。
そのため、商品ページやショップのTOPページなどに「沖縄・離島・一部地域については送料が追加でかかる場合がある」という注意書きを掲載しておくと良いでしょう。
プルダウンメニューで了承を得ないと注文できないようにしておくと、見落としなく伝えることができます。
R-SNSのLINE配信などを使って集客している場合は、特定の都道府県を配信から除外するなどの配慮があるとより丁寧です。
利益を確保できる戦略が必要
3,980円以上の購入で送料無料になると、どうしても利益から送料が差し引かれる形になるので、利益を確保するための戦略が必要になります。
単品での購入だとどうしても赤字になってしまう場合は、「まとめ買い」のセットに含めるなどの工夫を取り込んでいきましょう。
また、需要の高い商品を入口商品にする、広告を活用する、LINEやメルマガを活用してリピーターを増やすなどの基本的な対策も必須です。
Wacwarksは過去EC業界で実績のあり豊富な知見を持ったパートナーが在籍するプロフェッショナル集団です。
ECモールの構築はもちろん、SEO対策や広告運用、コンテンツやメルマガなどの顧客対応など幅広くマーケティングの支援を行います。
実績のあるフリーランスと提携するため、施策を高速で回し、短期間で利益を拡大できる仕組みが整っています。
まとめ
39ショップに参加するなら、「利益を圧迫する」というデメリットと、「ユーザーに選ばれやすくなる」というメリットを天秤にかけなければなりません。
現在39ショップに参加していなくても利益が確保できているのであれば、楽天のイベントに頼らない独自の集客が成立しているので、無理に39ショップに参加する必要もないでしょう。
一方で、競合に競り負けることが多くて伸び悩んでいるのであれば、39ショップに参加する方が良いこともあるので、自店の状況に応じて見極めていきましょう。